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鋸岳-山梨百名山

鋸岳-山梨百名山

行程の半分は林道歩き

行程の半分は林道歩き

【鋸岳と北岳】

鋸岳と北岳

山行情報
日程 2018年6月2日(土)
山名(山域) 鋸岳(南アルプス
入/下山地 釜無川林道ゲート前
メンバー 単独行
行動時間 12時間34分
歩行
距離
登り
下り
歩数
27.9km 2,482m 2,482m --歩
鋸山マップ

コース(タイム)

釜無川ゲート(04:38)-(06:36)ログハウス(小屋)-(07:49)横岳峠-(11:17)鋸岳(12:02)-(14:00)横岳峠-(17:09)釜無川ゲート

 《山概略》
 鋸岳は南アルプスの北端に位置する標高2,685mの山。山頂付近は急峻な岩稜で一般ルートはない。明治36年にウエストンが登った記録が最古だが、そのときすでに山頂付近に野営の跡があったという。山梨百名山と日本二百名山にリストアップされている。
 山梨百名山最難関の一つの山で、これが99座目となる。コースはいくつかあるが、記録が多く、比較的登りやすそうな釜無川ルートを選んだ。このコースの特徴は片道12kmあまりの林道歩きだ。自転車を持ち込む者が多いようだが、あえて徒歩で挑んだ。
 《アプローチ編》
 歩行時間が長いので、早朝から登るべく前夜からのアプローチとなる。中央道の八ヶ岳PAで仮眠し、まだ暗いうちに釜無川の林道ゲートに向かった。林道ゲートの手前は狭いが数台分の駐車スペースがあり、すでに二台の車が駐まっていた。その後ろに車を駐めて登山準備を行った。この林道ゲートは土曜日でも工事車両が出入りするので、大型車が通れる配慮が必要である。

 《鋸岳へ》
 車の中で途中のコンビニで買った弁当を食べ、出発準備をする。今回は長丁場なので、朝食はしっかりと取っておかなければならない。準備ができたのは4時半過ぎだった。標高936mからのスタートである。
 車止めのゲートは登山者が通過することを考慮していないので、左側の盛り土の所を回り込んで通過する。ゲートの先はだだっ広い河川敷が広がる。ゲートの手前だけ狭い場所で、そこに車を駐めなければならないのは嫌がらせだろうか。広い場所に軽トラに積まれた簡易トイレがあり、「ご自由に使用ください」と張り紙があるが、登山者も使って良いのだろうか。


ゲート手前の路側帯に駐車
【ゲート手前の路側帯に駐車】
   ゲートからの距離が分かる
【ゲートからの距離が分かる】

 林道を歩いていくと、0.5km地点の標識が現れる。ゲートからの距離である。この標識は500m毎に現れる。これから気の遠くなる距離の林道を歩くので、この表示はありがたい。
 林道は道なりに歩いていけばいいという訳ではなく、いくつか分岐がある。これで迷ったという記録を見たことはないが、感で進むしかない。林道には鋸岳と書かれた指導標は一切なく、あくまでも工事関係者用の案内だけである。林道をひたすら歩いていると、自転車とバイクが追い抜いていった。いずれも登山者で、バイクなどどうやって乗り入れたのだろうか。橋の所には二台のバイクが駐められていた。まだ林道の半分地点である。林道だけでも標高差は500mほど有るので、どこまで自転車で入るかは判断の分かれるところだろう。この自転車は下山時にはなくなっていた。道自体はそれほど悪路でもなく、ダートとしては綺麗な方だろう。

9.2km地点が最終表示
【9.2km地点が最終表示】
   小屋に到着、テン場は軒下
【小屋に到着、テン場は軒下】

 6.0km地点の先にある分岐は右に進む。左は始点の道標があり別の林道である。左手の釜川にはいくつかの堰堤があり、それらを通過していく。9.2km地点と中途半端な表示。ここが最終表示のようだ。前方に赤い屋根の小屋が見えてきて、長い林道歩きがようやく終わるようだ。
 赤い屋根の小屋に到着(標高1,545m)。林道歩きは2時間となった。小屋の前には一人の男性。バイクで来た強者だ。鋸岳は二度目の挑戦で、最初は体力不足で途中引き替えしたため、今回のリベンジは体力温存のためにバイクにしたそうだ。
 小屋は大昭和製紙の飯場跡で、その軒下には避難所としてご利用ください、と書かれている。ここにテントを張ると二日かけて余裕の登山が可能になる。なお、トイレはない。

沢を何度か渡渉
【沢を何度か渡渉】
   急坂を登っていく
【急坂を登っていく】

 小屋からは左の沢の方へ降りていく。ここからは道が不明瞭なので岩のマーカーやテープを頼りに進んでいく。しばらく沢沿いに進むが、何度か徒渉する。いずれも岩伝いに進むので足下が濡れることはない。相変わらず鋸山への指導標は出てこないが、「この先富士川の水源」と書かれた指導標が現れる。水場があるのだろう。そのあたりから尾根歩きとなる。
 樹林帯の急坂がしばらく続き、稜線の横岳峠(1,983m)に到着する。ここで初めて鋸岳への指導標が現れる。反対側は横岳で、ピークは近そうだが、そこへ立ち寄る余裕はないだろう。小休止の後、鋸岳に向かう。

横岳峠に到着
【横岳峠に到着】
   尾根をひたすら登る
【尾根をひたすら登る】

 稜線もしばらく樹林帯で、眺望はなかなか現れない。足下には小さい花がちらほらと咲いている。マツやシャクナゲの木立を通り抜けると、右手にちらりと仙丈岳だろうか、まだ雪が残るピークが見える。その隣には北岳だ。
 尾根が急坂となると、眺望はしばらくお預けで、シラビソの樹林帯が続く。先行者を一人追い抜く。再び眺望が現れ始め、鋸岳の姿も見えるようになる。ほとんど緑のない岩山だ。あのピークまでたどり着けるのだろうか。
 樹林帯を抜けてガレ場に出ると、仙丈岳、北岳、鋸岳がはっきり見えてくる。天気も上々だ。写真は撮れるうちに撮っておく。

ときどき見える眺望
【ときどき見える眺望】
   ガレ場に出ると正面に鋸岳
【ガレ場に出ると正面に鋸岳】

 ガレ場は浮き石が多いので、特に下りは注意して進む必要がある。三角点ピーク(2607m)の手前で、一人の男性が休憩していた。カステラの切り落としを食べていたのが印象的だった。70を越えていて、大手術を経ての登山復活とのことだった。そこから一緒に鋸岳まで行くことになった。
 三角点ピークからはアップダウンの繰り返し。ピークに行くために下らなければならないのは辛いところだ。隣のピークを登っていく二人組が見える。今回、10人ほどの登山者と会ったが、女性はその二人組の一人だけだった。ほとんどがヘルメットを被っており、良い心がけだ。もちろん自分も被っている。

山頂直下に取り付く
【山頂直下に取り付く】
   山頂到着、山梨百名山99座目!
【山頂到着、山梨百名山99座目!】

 山頂直下にたどり着き、ようやく最後の登りとなる。岩場の急坂だが、それほど難しくはなく慎重に登れば問題はない。体力を残して鋸岳の第一高点(2,685m)に到着する。山頂には数人の先客。いずれも釜無林道から登ってきた強者だ。そして一人、第二高点の方から登ってきた。
 細長い山頂はそれほど広くはない。360度の展望だが、ここに来て雲がかかってきた。甲斐駒の山頂はすでに雲の中で見えない。第三高点までの岩稜は見えていた。遠くに町並みは見えるが、携帯の電波(SB)は入りづらい。山頂の標識の前で記念写真を撮ってもらった。これで、山梨百名山99座目である。最後は富士見山なので、難関の山はこれで終了である。

甲斐駒方面は雲がかかる
【甲斐駒方面は雲がかかる】
   帰りは三角点ピークに立ち寄る
【帰りは三角点ピークに立ち寄る】

 しばらく山頂にいたが、ガスがはれる様子もないので、下山することにする。帰りは、三角点ピーク(2607.1m)に立ち寄った。稜線から数十メートル北側に行ったところに三角点がある。薮の中で三角点の位置は分かりにくく、眺望もないピークだ。
 横岳峠まで戻ると、緊張も和らぎ、休憩しているうちに急に眠気が増してきた。10分ほど横になって寝ると、その間に虫に刺されたらしく、腹のあたりに発疹ができていた。山の中では不用意に横になるものではなかった。

最後の長い林道が始まる
【最後の長い林道が始まる】
   ゲートが見えてくる頃にはへろへろ
【ゲートが見えてくる頃にはへろへろ】

 ようやく小屋まで降りるもまだ先は長い。長い林道に取り付く。滅多に歩くことのない長距離である。足が辛い。自転車が二台ほど悠々と抜いていった。来るときはあまり気にしなかったが、立派な砂防ダムがあちこちにある。こんな奥地に必要なのかと思ってしまう。  広い林道に出て、ようやくゲートが見えてくる。もうへとへと。歩き始めから12時間以上かかってようやく車を駐めたところまで戻ることができた。

《登山道の花》
シロバナノヘビイチゴ コイワカガミ ミヤマキンバイ
 【1.シロバナノヘビイチゴ】
 【2.コイワカガミ】
 【3.ミヤマキンバイ】
サクラソウ
 【4.サクラソウ】

付近の山 甲斐駒ヶ岳(2000.07.22)、アサヨ峰(2011.07.16)、雨乞岳(2012.06.02)、日向山(2012.11.25)

立ち寄り湯情報
 
道の駅信州蔦木宿 つたの湯★★★
場所:長野県諏訪郡富士見町落合1984番地1(TEL:0266-61-8222)
泉質:硫酸塩・塩化物温泉(源泉32.2度)
料金:600円・時間:10:00~22:00
休館:火曜日(祝日の場合翌日)
食堂:有、露天:有
Camera:CANON EOS 6DMK2

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